大阪らしい夏が来た。


鬱陶しい梅雨の空模様から開放された日曜の昼下がり、汗だくになりながらベランダの植木や草花の手入れをしていると、生ぬるい風が夏の始まりを告げる潮の香りを運んで来た。そして、どこからか男同士が何かさっきから言い争っているような声が聞こえる。その声はビルの谷間に反響して何を言っているのかは、はっきりとは聞き取れないが、喧嘩でもなさそうな、大声で説教してるようにも思える。その声のする方向に目をやると向かいのマンションの屋上で男二人が、並んでしゃべっている。何をしているのか分かった。屋上をステージに見立てて漫才の練習をしていたのだ。
peace