Dear My Soul。


イメージが浮かんで、それが具体的になっていったのが一昨年の冬の終わりか春の始まりの頃だったと思う。そのイメージのプロトタイプになったのが昨年リリースしたシングル「Soul Eyes」に収録した"N1"というトラックだ。僕の場合、トラック名はだいたい、そのトラックのイメージから由来する。しかし"N1"は違った。これはタイトルというよりも開発コードネーム的なもので"N1"はすなわち"New One"の略なのだ。それは、それまでのDugsoulが制作していたトラックのテイストを捨てて、新たな方向性へと導く導火線を意味していた。そして僕は当時、"N1"の最終的なミックスダウンを終えた時、これはサイケデリックな音が作れると確信した。ギターのディストーションの割れた感じやディレイ感などのエフェクトなどの音の実験がうまくいったのだ。しかしそこからは1曲、1曲積み重ねていく、いや、作っては削除し、また作ってはやり直しで、地道に作業を続けるしかない、僕は随分、途方もない方法を選んだ。トライと言えば聞こえはいいが、実態は失敗を積み重ねていくことだ。可能性を失敗の実績で証明するようなものだ。可能性が1%なら99%の失敗によって実証しなくてはならない。でも僕はイメージに辿り着けるならそれでいいと思った。やはり好きなことについては打算的に物事を判断しないからだろう。そして気にしない。とか言っておきながら実は意外にも作業はサクサク進んだ。2ヶ月ぐらい過ぎた頃には10トラックが完成した。と同時にアルバムとして全体のイメージも明確になっていた。それは一言で言えば「自分回帰」だ。今、自分が歩んで来た人生という道はどの辺あたりなんだろう。そんなことをふと思った時、もちろんその先の未来への道を思う。でも、ここから先の未来へと道を歩み始める前に、振り返ってみるのもどうだろう。それは後悔や反省をするってことじゃなくて、ここまで歩んで来た自分を褒めてあげよう、自分を認めてあげよう、自分を力一杯抱きしめてあげよう。そうすることで確実に前へ向いて未来の道へと歩んで行ける。自分に宛てて出した手紙。それがアルバムタイトル"Dear My Soul"の意味だ。"Dear My Soul"に収録した全14トラックはすべてヴィジュアルの残像感だ。それを音にした。映画のサウンドトラックのようなものだ。それは旅のワンシーンだったり、日常の暮らしのワンシーンだったり、思い出のピースを組み合わせてみた。もうすぐドイツからリリースされる。

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永遠のロックギタリストChar。

飛ばすタイミングを間違えたシェット風船のように、阪神は京セラドームでヤクルトに3連勝した。
昨日、YOUTUBEで、「永遠のロックギタリストChar -B面」を観た。ファイル数は11で1時間以上になる。その時間をチャーはあまりエレキギターを弾くこともなく、ほとんどトークしている。チャーがチャー坊って呼ばれていた小学校時代からトークは始まり、初めて手にしたグヤトーンのエレキギターから、あのムスタングを手に入れた話とか、(実はその前にストラトキャスターを持っていたが、パクられたんだって)それぞれの時代のミュージックシーンを背景に興味深いエピソードが繰り広げられる。ほんと見事に語り尽くしている。おそらくスタッフかアシスタントだろう、たいした聞き手でもない人を相手に自分でトークを膨らませながら、実に上手く語りつくしている。僕は観た後、何だか気分がスッキリした。迷いが吹っ切れました。レジェンドの話は説得力がある。なるほどと思ったし、ビール片手に声を出して笑ってしまったり、深く共感した。「いい音」って何?これはロックの、エレキギターの、人生のありがたい講話です。

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眠れない夜。


何だか早足で秋がやって来た気がする。気候的にも阪神にも。
昨晩はめずらしく、なかなか眠くならず朝方の5時頃まで起きていた。5時まで起きていたことよりも、寝ようと思って眠れなかったことがめずらしい。だいたいは寝ようと思ったら、おそらく10分も経たない間に寝れるのに。そんな夜中は自分でも予想できない程の妄想が膨らみ、その妄想が止まらなくなって頭がキンキンになって眠れなくなる。ちなみにその妄想はろくでもないことが多い。それでも朝の9時過ぎには目が覚めた。頭はまだキンキンしてる中、起きるのも面白い。そんな深夜、NHKでマイルス・ディヴィスの1973年だったか1974年だったか、当時、収録した東京公演のテープが行方不明になり、そのテープが発見され、デジタルリマスタリングされオンエアされることを知った。これを観たら余計眠れなくなるのは間違いないと直感。早速、録画予約を入れた。昼間にでもいい感じの音量で観るために。

泉谷しげる 「眠れない夜」

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秋、近し。


阪神がヤクルトにまさかの3連敗。その悲しみか大阪は昼から雨が降り出した。スタジオに自転車で来たのに。
エスモンゴメリー 「フルハウス」ギター・アルバム屈指の名作。
エスモンゴメリーを初めて聴いたのは18才の夏だった。長崎、佐世保のジャズ喫茶。僕はその夏、北九州辺りを数週間、旅をしていた。店の名前は記憶にない。階段を地下に降りて、扉を開け店に入ると店内はウッディな内装、当時、雑誌「ステレオ」なんかで、よく目にした高級オーディオルーム的趣きだ。スピーカーはJBLでアンプは真空管。昼過ぎで客は僕一人だけ。僕は左のスピーカーの近く、カウンターの隅に腰掛けた。今思うと、たとえばこんなジャズ喫茶とかバーとか、ただ、いい音を聴くためだけの店がこの時代にはあった。ウエスモンゴメリーと言えば、鮮明で乾いた音、暖かいフレーズ、オクターブ奏法。親指だけでピッキングする人。
今日、雨が降ったことで秋はまた一歩近づいてくる。僕は雨の日にソニー・ロリンズかウエスモンゴメリーを聴くのが好きだ。窓を開けるとアスファルトを叩く雨の音、それが聴いてる音楽といい感じに混ざり合う。


コンピレーションアルバム
Soul Sensitive Vol 1
Streetlightよりリリース
視聴
http://www.junodownload.com/products/soul-sensitive-vol-1/1815287-02/
Dj Nob Tee aka Dugsoul / Feel The Wind (Orignal Mix)収録
日本語のヴォーカルトラックを作りました。
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ありがとうSL1200。


今日、知った。気にもしてなかった。ターンテーブルの代名詞、テクニクスSL1200がシリーズMK6を最終モデルとして昨年の10月で生産を終了していた。
http://panasonic.jp/technics/analog/index.html
クラブのDJブースに設置してあるターンテーブルはまず間違いなくテクニクス。90年代、ベスタクスなどの他社もターンテーブルを発売していたが、テクニクスは全くその追随を許さなかった。そんなテクニクスターンテーブルの生産を終了していた。そのニュースに触れた時、まさかと思った。そして心が少しジーンとしたことと、心に小さな穴が空いた。なぜなら「ほんとうにアナログの時代は終わって行く」と感じたから。ターンテーブルは他メーカーによって今後も供給されるだろうが、テクニクスSL1200はターンテーブルの象徴だっただけに残念だ。しかしこれが僕のDJスタイルに影響されるかと言うと、されない。僕はこれからもレコードに針を落とし続ける。これは変えない。
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秋に聴きたい名作。「ロングラン」


イーグルスの「ロングラン」。このアルバムを初めて聴いたのは、もう30年も前の話になる。その日はアルバイトで、音楽系コンサートのポスターを街中の電信柱に貼って回るのが仕事。もちろん、違法行為だ。もし警察に見つかれば、すぐさま交番へと連行される。でも僕には「僕は大丈夫、パクられない」と全く根拠のない自信があった。一緒にバイトしていたのが、K大学アメラグ部のお兄ちゃん。ちなみにアメラグのお兄ちゃんは前の週に和歌山市駅の駅前で深夜、演歌歌手のリサイタルのポスター貼ってるところを捕まったって言ってた。ポスターを貼りに行くテリトリーは主に大阪、神戸、あと関西一円だった。神戸の小さなイベンターに軽バンをアメラグのお兄ちゃんが持ち込んで、この仕事を請け負っていた。路肩に軽バンを止めると、僕とアメラグのお兄ちゃんは荷台からポスターを素早く引き出し、そこらの電柱にポスターを貼る。そして軽バンに戻り、移動、また新しい場所でポスターを貼りまくるという作業を何回か繰り返す。軽バンのカーステレオで流れていたのが、イーグルス「ロングラン」。移動中に僕は前を向いたまま、アメラグのお兄ちゃんに聞いた「これ、誰ですか?」するとアメラグのお兄ちゃんは丁度、信号待ちというタイミングでサイドブレーキをその太い腕で軽く引き上げながら「ああイーグス、ロングラン」って教えてくれた。へぇー、これがイーグルスのニューアルバムなんだ。僕はイーグルスとリリースしたばかりのそのアルバムをカセットに録音して、今日のこの日のバイトに持参したタイムリーなアメラグのお兄ちゃんを同時に尊敬した。その音は今までに聴いたことがなかった。単にアコーステックかエレクトロとかそんなんじゃなくて、すごく「雰囲気」のある音。清涼感、哀愁感、ゆっくりと時間が流れて、いい感じで取り残される感じ。そう、まさに音はフィーリング。軽バンのカセットで聴いた音だったけど、ほんとうにいい音だった。そして今日、久しぶりに聴き直してみた。どの曲もこの曲も素晴らしい。今の気候にベストマッチ。スタジオの窓を開けて乾いた風が最高にいい気分。ビール飲んでもいいし、コーヒーでもいいし。晴れた秋の午後がいい。

peace

Houseはいい。


やっと落ち着いたスタジオでサウンドチェックやマックたちの調子お伺いを兼ねて、僕のdj mixシリーズon lifeをリマスタリングしながら聴いていますが、いや、やはりHouseは、いいなと率直に感じた。いい、いい、Houseはやっぱ、いい。Houseっす!みたいな。

HouseはHouseでしかないグルーブ感はやはり良いですね。再発見、再認識、再フィーリング。
hope